「競馬騎手」は儲かる職業なのか否か? 

一般的な「競馬騎手」の収入はどのくらいかご存じですか?端的に答えれば、”全然”です。端的に答えなかったとしても、控えめに言って、騎手として生計を立てていくのは厳しいですね…。では、以下でもっと詳しく見ていきましょう。

収入

サッカー選手やクリケット選手、ラグビー選手とは異なり、特定のコーチやオーナーと契約を結んでいる一部の名手を除いて、騎手はほぼ全員が自営業です。つまり、あらかじめ決められた給与が与えられるのではなく、仕事を受けるたびに収入が得られるのです。騎手の収入の生命線ともいえるのが「騎乗料」です。障害競走で164.74ドル、平地競争で120.66ドルです。一日騎乗すれば、一日あたり1000ドル前後の収入が期待できます。

しかしながら、そこから各方面に払う手数料が引かれます。騎手のエージェントに10%、プロフェッショナル・ジョッキーズア・ソシエーション(騎手の組合)に3%を支払います。道具の管理をするバレットには、1日目の騎乗料の10%、2日目の7.5%、3日目の5%を支払います。障害競走の騎手の多くは、1年に215回騎乗しますが、収益の4分の3が手取りになった場合、騎乗料からの平均的な年間総収入は2万6,500ドルとなります。

一方、平地競争の騎手の多くは、毎年300回騎乗します。つまり、彼らの年間総収入は2万7,150ドルとなります。

経費と税金

騎手にとって旅費は大きな出費で、一般的な騎手は年間40,000~60,000マイルの距離を移動し、ガソリン代は6,000ドル以上にもなります。定期的に調教師のもとへ出向くこともあり、車の維持費もかなりの額になるでしょう。

また、税金についても考慮しなければならず、会計士を雇うか、確定申告に膨大な時間を費やす必要があります。しかし多くのジョッキーは、燃料費、機材費、車の経費をすべて納税額から控除することで、汗水垂らして稼いだお金を必要以上に税務署に納めずに済んでいるそうです。

賞金とスポンサーシップ

騎手は、自分の馬が獲得した賞金の一部という形で、パフォーマンスに対し報酬を得ます。

レースによっては、賞金の8.5~9%が支払われます。平地競争では6.9%です。どちらのレースでも、投入された賞金の3.5%を受け取ることができます。これらの賞金で唯一引かれるのは、エージェントへの10%の手数料です。

賞金額は、障害競走よりも平地競争の方が大きいのですが、トップレベルの騎手ではない場合、賞金からの収入は両種目ともに大きく異なります。

また、スポンサーシップは、騎手にとってのもう一つの大きな収益源です。物流会社であるストバート社は、全騎手のスポンサーとなっており、体の中でも最も目立つ部分である臀部にスポンサーロゴをつけています。その代わりに、騎手の傷害保険をストバート社が負担するのです。

もちろん、それぞれの騎手に支払われる金額は、社会的地位や実績、そしてエージェントの交渉術によって決まります。

ここまで騎手の収入や経費を見てきましたが、結論を言うと、ほとんどの騎手は貧乏ではありませんが、裕福でもないのです。しかし、騎手たちの長時間労働や過酷な移動、身体的リスクを考えれば、1ドルでも1ユーロでも、彼らが稼いだお金はそれだけの価値があると言えるのではないでしょうか。